伝説の人、松本岐子先生にお会いできました(鍼灸の流派Kiiko Style)
- 木原
- 2023年11月27日
- 読了時間: 7分
更新日:2023年12月17日
私が鍼灸の治療スタイルとして用いている手技、流派は
長野式kiiko Style といいます
誰が名称したのかわかりませんが
長野式という流派のベースから派生し
【お腹を中心とした反応点から、治療するツボを探し出す方法】
といったところです
そのKiikoの名称の、松本岐子(キイコ)先生がアメリカから講習会の為にやってこられました
その懇親会とセミナーに参加させて頂いたことをお伝えします
松本岐子先生ってどんな方だったか
80年代からアメリカへ渡って、ハーバード大学で講師を現在も、行っていながら、治療院で自分でも治療している講師兼臨床家です
何故、アメリカに行かれたか聞きそびれましたが、アメリカでは中医学を教えている人はいても、日本の鍼灸・東洋医学・古典を教えている人がいなかったので、差別化を学校が図るためにお声が現地でかかったそうです
講師とは別に現役の臨床家で今でも月・水・金で週60名診ているそうです。。。。
週60!?
一日20人!、同時進行行いながら、1時間以上1人にかけてらっしゃいます
ちなみに私は一日6~8人までしか診れず、それでもヘトヘトです
70歳を超えてのこのバイタリティ!
活躍している人って、どの分野の方でも
活力・情熱・体力が並みはずれている
そう感じます
勉強会でも鬼のように矢継ぎ早に質問責めが飛び交い、その中で施術しながら答えていく様はまさにレジェンドです
(施術しながら受け答えするのって、質問と治療を考えながら二つ同時進行をするので、とても大変なんです)
また飲み会では私が隣にガッツリ居座ったのですが、嫌な顔をせず答えてもらい、人間的にも大きい方だなと思いました
愚問もしてすみません・・
外見などの雰囲気はというと
とにかくめっちゃしゃべる!ずっとずーーーと、お話されています(おしゃべり)
横浜のご出身とお聞きしましたが、同じ関西の人かなと思うレベル
またハッキリ、ズバズバ言い切ります
「あなたの言っていること何が言いたいかわからない」とか
「何が知りたいの?」
この辺りはアメリカっぽいなと思いました
他の方がタジタジになっていました
でも嫌味な感じは全くなく、こういう方なんだなと思いました
印象的なのは指です
欧米人の大きな体を触診されてきた為、バネ指で真っすぐなりません
診察の際に悪いところか触診するのですが
痛いところは悪いサインだと確認する必要があります
その為、疼痛があるか誘発させるため、しっかりと指を押し込まれます
それを欧米人の大きな体に何回も確認すると
そういう指になってしまうそうです
よくあるインチキの治療後に指を軽く押して痛みが取れているような演出がないんです
硬く曲がった手をみると、なんだか、あこがれます
自分もあんな手に慣れるくらい診ていきたいと
KiikoStyleの勉強会はどんな感じ

勉強会に参加されていた方は沖縄など遠方から来られていたり、医師の方が来ていたり、漢方医だったりと鍼灸師以外にも様々な方がいました
年齢層は高めで50~60代、若い人は少ないです
この辺りは価格の問題もあるかもしれません
2日で¥88.000(実技指導)、1日¥33.000(実技デモ)です
理学療法士、鍼灸師の価格帯で見た場合
かなり高額な部類です
これぐらいの値段は詐欺セミナーか本物かハッキリ分かれます
私は実技デモだけの参加で、その場で患者さんを治療していくところを見学できました
どんな感じかというと
「え!?」とか「マジ!?」という感じのレベルです
よくわからない病気や症状に対しての反応点・痛みの反応が消えていく様はマジックとしか表現できません
多分、初見の方は信じられません
病気も、どこかが痛いに留まらず、難病であったり、よくわからない症状や長年治療を受けて良くならなかったなど難しい症例です
参加者の方は松本先生の治療を動画や人づてに聞いているので、不思議に良い治療効果・変化が出ても驚かなくなってしまいました
それくらい治せる(変化を起こす)ことが当然のような方です
具体的には
主訴に対しての反応(膝が痛いなら膝はどうか)、首、股の周囲、腹部などの痛みの反応を見つけ、関連性を考えて痛みの反応が消えるツボを探します
簡単にいえば、こういうことなんですが、このツボを探すことが難しい・・
古典を用いた考え方、触診技術、痛みが十分に消えなかったら他のツボを探したり、問診を続けて治療部位を考えていきます
KiikoStyleはある程度「型がある・初心者に取り組みやすいシステムがある」と私が勝手に思っており、取り組みやすいのですが
今回のセミナーはその先の話です
飲み会でも印象にあった言葉ですが
「東洋医学・治療のバックボーンは何?、古典じゃないの?」
「西洋医学は科学がベースとしてあり、東洋医学は古典がベース。
だから古典を学びなさい」
これは今まで古典を避けていた自分に染みる言葉でした
古典というのは超難解な漢文でしかも量が多いのです
学校でも教えられず、国家試験でも問われません(解釈が難しいから)
私は伝統的な学問としての東洋医学は苦手だったので
わかりやすいKiikoStyleをベースに行ってきたのですが
そのKiikoStyleのベースが古典という訳ですから皮肉なものです
これから少しづつ学ぶ覚悟ができました、というか逃げられない(笑)
勉強会は怒涛の勢いで雑談を交えつつ進行しました
こっちは頭がパンパンなんですが、当の先生が元気なので
一体どうなってるの!?という気分です
楽しそうに治療されている様は
もはや「鍼灸ジャンキー」
「わたし覚せい剤いらないから、これやってれば楽しいから」
と頭も身体が疲れないのか不思議でした
それくらい効果を出しているから楽しいのでしょう
内容は専門的な部分は割愛しますが
教科書的な五臓六腑の当てはまらないところに対しての考えを
古典の原文から解釈を交えて、治療に繋げておられました
ここが本当にすごいことです
イマジネーションの世界です
ちなみに古典は和訳以外にも
台湾語や英文など別に訳されていたものも所有して6冊見比べて、どういう意味か考えられているそうです
今回は筋に対しては肝について考えるのですが、筋膜など筋のカテゴリーに入らないところに対して
肓兪や鳩尾を使った考え方を教えて頂きました
これが不思議と効いていたので家で妻を相手に行いましたが
そもそもヘソ周囲が綺麗に刺さりにくい・・・
簡単にできないことが高い技術を物語っていますね

松本岐子先生からのありがたいお言葉

飲み会の席では気になっていたことを聞いたのですが
私は治療施術に60分で設定していますが、どうしても90分かかるので、そんな話をしたところ
松本先生も60分設定で90分かかることがあると言われました。そして
「あなた2時間かけて来てくれた人に時間だからって帰せる?よくならないまま帰せる?」
そうか自分は間違っていないんだなと思いました
特に松本先生のような治そうとする気持ち、気概が改めて大事だと初心を気付かせてもらいました
これは勉強会よりも価値のある言葉でした
また松本先生は治療家・臨床家なんだなと思いました
一般の鍼灸師と何が違うか
これまで講師の人って、どこか尊厳というか威圧的な面もあるかと思いますが
これだけ多くのところで教えているのに、全く惜しげなく全てを披露してくれて、答えてくれました
まず、その姿がカッコいい
「これが本物なのか~」臆せず驕らずでカッコいい
また、時間オーバーだろうがしっかり治すし、疑問も答える
自分の休憩時間を削ってまで質問も答えるし、興味のある話題をずっとしゃべってる
ここまでの人は今後出てこないだろうなと正直思います
少なくともKiikoStyleを引き継げるような人は難しいのではないでしょうか
凄さの裏打ちには
触診技術も光るのですが、
圧倒的な量(患者数・時間・多方面の経験・進化し続ける治療法)
多くの患者さんを治した経験値
勉強してきた時間
これがとんでもないくらいあるのだと感じます
同じような道は時代も異なり難しいですが、私なりの方法や登り方で松本岐子先生の背中を追いかけてみたいと思います
山を登ってもいないですが、山の姿が見えただけでもハッピーでした
鍼灸の患者さんをもっと診たい!
そんな風に思った貴重な一日でした
最後に運営の方々ありがとうございました
ボストンへ行かれる方は是非松本先生の治療を受けてみてください
先生のご息災を心より祈っています
kiikoStyle研究会(入会は無料)
松本先生の英語で教えている動画
松本先生の治療院(講義で世界中飛び回るので注意)



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